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Classic Selection 2002
1940年体制の弊害を克服するには

ウィリアム・H・オーバーホルト ハーバード大学アジアセンター研究員

Japan's Economy at War with Itself Fatal Flow

William H. Overholt 1972年にイェール大学で政治学博士号を取得後、70年代にハドソン研究所の主任研究員、80年代には香港やシンガポールなどでバンカーズ・トラストなどアメリカの主要投資銀行のチーフ・エコノミストを務めた。主な著書に『中国・次の超大国』(第7回アジア太平洋特別賞受賞)がある (肩書は論文発表当時) 。

2002年1月号掲載論文

現在、日本を機能不全に陥れている制度上のルーツは、現行の制度の多くをいまだに支配している1937~45年に作られた「1940年体制」に求めること ができる。この体制は日本の戦時経済を動かすために合理的に作られ、実際にうまく機能した・・・だが、かつては日本の再建と成長にうまく貢献した体制上の 特質が、いまやこの国を崩壊の瀬戸際へと追い込んでいる。

  • 「改革すべきか、どうか」ではない <一部公開>
  • 戦後経済と1940年体制
  • 八方ふさがりからどう脱け出すか
  • 内需が低調な本当の理由
  • 経済的影響力の衰退
  • 世界にとっても死活的な問題

<「改革すべきか、どうか」ではない>

日本は歴史上の大きな節目にさしかかっている。日本の経済的奇跡を呼び込んだ一世代前の制度が、いまやこの国の経済を崩壊の瀬戸際へと追い込んでいる。だが、これを乗り切るために必要な変化は、日本の経済・金融・外交・家族生活などに広範な影響を与えずにはおかない。

現在、日本を機能不全に陥れている制度上のルーツは、現行の制度の多くをいまだに支配している1937~45年に作られた「1940年体制」に求めることができる。この体制は日本の戦時経済を動かすために合理的に作られ、実際にうまく機能した。それだけではない。1940年体制の有効性は、戦争が終わった後も実証された。事実、敗戦後も長期間にわたって、きわめてうまく機能したこの体制は、日本の再建とめざましい成長へ向けて大いに貢献した。

だが、かつては日本の再建と成長にうまく貢献した体制上の特質が、いまやこの国を崩壊の瀬戸際へと追い込んでいる。もはや問題は、日本が自国の経済制度を改革し、戦時経済的体質を葬り去れるかどうかではない。日本に選択肢はなく、問題は、日本社会に深く浸透している1940年体制を改革するのに必要な抜本的変化をうまく実現していけるかどうかにある。

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