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債務救済の理念と現実

M・A・トーマス  メリーランド大学経済学部付属研究所副所長

Getting Debt Relief Right

M. A. Thomas 米メリーランド大学経済学部付属の発展途上国制度改革およびインフォーマル・セクター研究所副所長。(インフォーマル・セクターとは、発展途上国のスラムなど、通常の統計に表れてこない経済部門のこと)

2001年9月号掲載論文

HIPC債務救済イニシアチブが、救済措置適用国の貧困層を潤しているわけではない。債務を帳消しにするとしても、その条件として、資金の有効な利用と構造改革の実施を義務づけない限り、貧困層が救われる可能性は低い。だが、迅速な債務救済をやみくもに求める現在の政治圧力は、そうした条件を考案し強制することをむしろ妨げてしまいかねない。HIPCで社会サービスが機能していない直接的理由は、社会保障支出が債務の金利支払いに充てられているからではなく、HIPCの統治がなっていないからである。水をザルでは運べないように、こうした諸国で社会保障支出を増やしても、社会サービスがそれを必要としている人々のところに届くわけではない。

  • HIPC債務救済イニシアチブの落とし穴
  • 資金はどこに行った?
  • ルールなき政府
  • 果たされぬ説明責任
  • 打つ手はあるのか
  • 債務救済では貧困は緩和されない

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