中国はデフォルトに陥るのか
The Middle Kingdom Runs Dry
2001年1月号掲載論文
景気刺激策、軍事予算の拡大など、中国政府の歳出が増大しているにもかかわらず、歳入はますます先細りとなりつつある。中国では脱税行為が「制度化」されているために、税を負担することはむしろ危険な行為なのだ。
権限を持つ個人や集団が国家資源に寄生し、私腹を肥やし、社会を貧困化させる――これが今日の中国の姿なのだ。最終的に財政難が国庫を干上がらせ、国内の安定が大きく脅かされるばかりか、混乱は国外に波及するに違いない。
- 出口のない迷路
- 税金を負担する「危険」
- 税制上の不備
- もはや打つ手なし?
- パラサイト社会
<出口のない迷路>
専門家たちは、これまでも中国につきまとう数多くの問題を幾度となく指摘してきた。よく引き合いに出されるのは、人口の増大、環境悪化、国内民族集団間の緊張の高まり、近隣諸国との軋轢などだ。一方、これまでのところあまり大きな関心は寄せられてはいないが、より差し迫った問題がある。それは、北京政府が税金をほとんど徴収できていない、ことだ。中国の経済成長が鈍化する一方で、社会資本整備の必要性は高まっており、それだけに、徴税にまつわる慢性的な問題が次第に政府の基盤を揺るがしつつある。しかも、この問題への対応は、これまでのところことごとく失敗に終わっている。
一九九〇年代を通じて、税金逃れをしている者に対する摘発作戦が実施されたが、ほとんど効果はなかった。対GDP(国内総生産)比での政府歳入レベルは下がり続け、七八年当時は三二%だったものが、今では一二%へと低下している。この数字は世界でもっともレッセフェール(自由放任)的な政府のGDPに占める歳入比率よりもさらに低いレベルである。しかも中国の場合、対GDP個人所得の比率が七八年の四九%から九八年には六一%へと上昇しているにもかかわらず、歳入が減少している。・・・
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