ホット・マネーを動かすのはだれか
The Color of Hot Money
2000年4月号掲載論文
一般に外国の銀行による融資は、ポートフォリオ投資よりも変化が激しく、ボラタイルである国内での不良債権の山とお寒い限りの投資全般の収益という事態に直面した日本の銀行は、危機前にはタイや東南アジアにおける最大の貸手になっていた。実際には、ヘッジファンドは流動性を提供することで、市場のボラティリティーを緩和させる重要な役割を果たしてきた。
- ホット・マネー
- 資金を求めて
- 金融危機の本当のメカニズム
- ヘッジファンドの本当の姿
- 銀行から資本市場へ
「こうした(アジア)諸国のすべては、自国の経済を構築するために四十年という歳月を費やしてきたが、大金を動かすソロスのようなけしからん人物の投機行為によって、すべてが破滅してしまった」(マハティール・モハマド・マレーシア首相、一九九八年一月)
<ホット・マネー>
こうしたどぎついレトリックを用いるのは、マハティールだけかもしれない。だが、ロシア、アジアでの金融危機の余波のなか、彼の見解はそれなりに受け入れられていった。実際、危機を演出して経済を不安定化させ、罪なき人々を困窮させた犯人として、とかくやり玉にあげられているのは、大規模な資金を国境を越えて素早く移動させることで有名なヘッジファンドである。ヘッジファンドに批判的な人々は、彼らは実体のよくわからない過大な借入資金を使って、政府の規制を受けることなく膨大な資金を投機に用いていると見ている。批判派は、こうしたヘッジファンドによるリスクの高い金融ギャンブルが、九七年と九八年に新興市場経済を極度の混乱に陥れた変動の激しい「ホット・マネー(短期の動きの激しい資金)」の流れをつくりだした、と主張する。
とはいえ、資本管理を主張したり、ヘッジファンドやその他のポートフォリオ投資家の活動の禁止さえ検討したりしている批判派は、もう一度冷静に考えてみるべきである。こうした投資が、グローバルな資金の流れの変動の主要因だったわけではない。・・・
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