地域・文化対立が米外交を引き裂く
Civil War By Other Means
1999年11月号掲載論文
反介入主義と反軍部を旨とするリベラルな北部と、介入主義的で軍に好意的な保守派の南部という対立構図は、米国が誕生して以来のものだ。「南部は、それが何をめぐって、どの国を相手とする戦争であるかなどお構いなく、アメリカの戦争のすべてを支持してきた」。これに対して、北部は一貫して非介入、反軍事路線を崩さなかった。これは、アメリカの内的な地域文化対立である。問題なのは、そうした北部と南部の地域的な下位文化が融合しないどころか、むしろ、民主党、共和党という対立構図と重なり合いつつあることだ。経済ブームがこうした南北間の価値観や利益をめぐる対立を覆い隠す役割を果たしてきたが、ひとたびリセッションが起きたり、新たな安全保障上の脅威が登場すれば、「軍事路線と自由貿易を支持する南部と南西部、そして、反介入主義的で保護主義的な北東部の間」のやっかいな政治対立が先鋭化するに違いなく、その衝撃は同盟関係さえも揺るがしかねない。政党やメディアに、こうした二つの地域文化がバランスよく反映されるシステムを導入しない限り、南北戦争まがいの対立がなくなることは決してありえない。
- タカ派の南部とハト派の北部
- 地域主義とアメリカの戦争
- 孤立主義と介入主義の間
- 冷戦も崩せなかった地域対立
- コソボ空爆と南北間の対立
- アメリカの下位文化が外交を左右する
- 国内の分断線を取り除くには
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