完全な失敗としてのコソボ
A Perfect Failure: NATO's War Against Yugoslavia
1999年9月号掲載論文
コソボ紛争は奇妙な戦争であったし、戦争を周到な政策の延長とみれば、これは完全な失敗だった。コソボのアルバニア系住民は、「民族自決権」に基づく独立を求めて戦った。一方、セルビア人は「既存の国境線の不可侵」という原則を盾にコソボをユーゴスラビアの一部に留め置こうと戦ってきた。かたやNATOといえば、コソボには自治権が認められるべきだという立場をとりつつも、それでもコソボはユーゴの一部にとどまるべきだと主張した。当然、戦争が終わったときも、主権にまつわる中核的な政治問題は未解決のままだった。NATOは介入して紛争勢力の一方を打破しつつも、戦争目的をめぐっては、うち負かした側が掲げていた大義を共有していたからである。つまりコソボはNATOの軍事的成功ではあっても政治的には大失策だったのだ。
- 悪い戦争
- 戦争目的は何だったのか
- 致命的な誤算
- クリントン・ドクトリン
- 中ロとの関係悪化
- オルブライト外交?
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