ニクソン、フォード外交を振り返る
――現実主義、理想主義、新保守主義の相克
Between the Old Left and the New Right
1999年6月号掲載論文
二十一世紀に長期的視野に立った外交政策を実行するには、「レーガン的な直感的アプローチとニクソン的な地政学的な細心の配慮」の双方が必要である。ニクソン期の外交政策がうまく支持を集められなかったのは、外交上の理念や道徳性を重んじる「ウィルソン主義が大衆に与えていた大きな影響を、われわれが過小評価していたためだった」。しかし、ニクソン政権の政策が間違っていたというリベラル派の批判は憶測違いである。われわれは、ベトナムで被った痛手を克服さえできれば、「地政学的な孤立と低迷する経済が、クレムリンのイデオロギー上の熱意を萎えさせ、ソビエト・システムを圧倒できる」と当時から考えていた。冷戦の勝利は、ひとりレーガン政権の手柄ではなく、ニクソン、フォード政権の地政学的戦略とウィルソン主義のレトリックをレーガンが抜け目なく合体させた結果だった。重要なのは、一九八〇年代の勝利は一九七〇年代の戦略を拒否することによってではなく、レーガンがうまくその位置づけを変えたことによって達成された、ということだ。リベラル、保守、新保守派によるとめどない政治論争をコンセンサスへと導くには、それぞれのグループがつくりだした時代の政治状況と各時代の戦略から知的な教訓を得る必要があるし、とくに新保守主義者が自らの過去を正直にとらえ直す必要があるといえよう。
- 「道徳主義」対「現実主義」
- デタントの意図
- リベラル派の変節
- 新保守主義の功罪
- 新保守主義者たちの屈折した批判
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