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核実験後の南アジアにどう向き合うか

ストローブ・タルボット  米国務副長官

Dealing with the Bomb in South Asia

Strobe Talbott 米国務副長官。『フルシチョフ回顧録』の訳者としても有名なロシア通のジャーナリストで、タイム誌のモスクワ支局長を務めた後、国務副長官としてクリントン政権入りした。現在、インド、パキスタンとの核不拡散、安保問題をめぐって、大統領特別大使も兼務している。

1999年5月号掲載論文

インド・パキスタン両国の核実験は、現在の核不拡散レジームを大きく動揺させている。「NPT(核不拡散条約)レジームの現状からの後退を食い止められなければ、昨年の核実験をきっかけにNPTから次々と脱退する国がでてくるかもしれない」。印パ両国は、核による均衡が冷戦期の米ソ間の平和を維持していたように、今回の核実験によって今度は南アジアに核の均衡による平和が到来すると信じている。だが、「冷戦が平和的に終焉したという観点からではなく、この対立関係の管理にいかにコストがかかったかという現実的見地から、あらためて歴史を見るべきである」。印パがつくりだした既成事実を前にNPTレジームを譲歩させれば、潜在的に核開発能力を持ちながらも、開発を放棄した国々を裏切ることになるし、核兵器保有国の地位を得ようとするインセンティブ(動機)を他の国に与えることになりかねない。「印パ両国が核兵器を放棄し、あらゆる核関連活動に関する査察を受け入れる」のが先決であろう。

  • 核実験の余波
  • 核管理の戦後史
  • 新たな現実
  • 米ソ軍拡競争の教訓
  • 最悪の事態を防ぐために

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