グローバル金融センターの将来
Global Financial Centers
1999年2月号掲載論文
グローバリゼーションとともに、金融活動が多様化し、資本市場の脱国家化・分散化が進みつつあるのは間違いない。だが一方では、ニューヨーク、ロンドンという二大金融センターへの統合化も進んでいる。一流の金融機関のグローバルな活動によって、金融活動が世界的な広がりを見せ、市場間の協調も高まっているが、支配的な影響力を発揮するに十分な資金を持つことになるのは、結局はひと握りの金融センターだけだろう。
この分散化の流れのなかでの金融センターの統合化は何を意味するのか。現在のグローバルな金融システムが存続するのは間違いないとしても、アクセスの容易さ、機動性、スピードがこのシステムの重要な要素となるため、このシステムはひどく不安定なままだろう。将来の危機のショックをやわらげる方法はあるのか。短期資金フローに開発資金を頼る新興市場の運命は、そして、アジア経済危機から立ち直れない東京と香港の金融都市としての将来はどうなるのだろうか。
- 新たな金融ネットワークの形成
- 世界的金融センターになるには
- コンピューターは人には代われない
- 金融の統合化現象
- グローバリゼーションの現実
- ロンドンとニューヨーク
- アジア危機が変える金融市場
- 繁栄に潜む危険
<新たな金融ネットワークの形成>
昨今の金融危機にもかかわらず、グローバルな資本市場が超国家秩序の形成へと向かうプロセスはいささかも鈍っていない。事実、国内での金融活動が減少する一方で、国際的な活動は増大している。
一般にグローバリゼーションとは分散化を意味する。たしかに、金融センターの国際的なネットワークが拡大しつつあるという点では分散化が進んでいるわけだが、一方で、ひと握りの戦略的金融都市が形づくる効率的システムの統合化も進んでいる。金融活動が世界的な広がりを見せているとはいえ、支配的な影響力を発揮するに十分な資金を持つのは、少数の金融都市だけとなろう。・・・
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