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ポスト冷戦秩序の誤算

チャールス・ウイリアム・メインズ   前『フォーリン・ポリシー』誌編集長

Squandering Triumph: The West Botched the Post-Cold War World

1999年2月号掲載論文

「どこか、何かが狂ってきている」。現状は、冷戦後に欧米諸国が組み立てた市場経済、民族紛争、戦略に関する前提のすべてが間違っていたことをわれわれに教えている。市場経済を導入するには政治改革が不可欠で、そのタイミングが難しいこと。民族紛争が本質的に「アイデンティティと生存」をかけた闘いであること。そして、現在の脅威には抑止戦略が機能しないことを、われわれは当時理解していなかった。市場経済民主主義というモデルは、すばらしいながらも一方で欠陥を内包している。これを人類に大きな利益をもたらすシステムに改編するには、地域的な火事を封じ込めるような、防火壁を相互の理解の上にめぐらす必要がある。さらに、民族紛争の本質をわきまえた上で、状況管理型の戦力を編成することも急務だ。多くの国々が一つのモデルを採用しつつあるという、この歴史上かつてない機会を活かすのに必要なのは、現状の欠陥を踏まえた上での、さらに壮大な「ビジョン」にほかならない。

  • そして、「歴史の始まり」へ
  • 神の見えざる手は何処に
  • 「アイデンティティと生存」をかけた民族の闘い
  • 民族紛争抑止に核兵器?
  • 欧米にはビジョンがない

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