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アメリカは「ユーロ・バッシング」をやめよ

ウィリアム・ウォレス ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE) 上級講師 ジャン・ジエロンカ ユーロピアン・ユニバーシティー・インスティテュート 政治学教授

Misunderstanding Europe

William Wallace ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの上級講師で、イギリス下院における自由民主党の防衛問題担当スポークスマン。 Jan Zielonka フィレンツェにあるユーロピアン・ユニバーシティー・インスティテュートの政治学教授で、『ユーロ停滞症候群』(仮題)の著者。

1999年1月号掲載論文

アメリカはヨーロッパ側のまとまりのなさ、同盟関係への貢献の低さ、経済の低迷、社会保障制度の問題を嘆きながらも、ヨーロッパが単独でまとまり、イニシアチブを発揮しようとすると警戒感を示す。さらに、こうした「ユーロ・バッシング」的見方は、アメリカが抱くヨーロッパ像のコンセンサスは反映していても、ヨーロッパの現実にはそぐわない。ヨーロッパは応分な貢献をなし、経済は復調し、社会保障制度も広い観点から見れば硬直化などしていない。むしろ、問題は身勝手なアメリカにあるのではないか。国際機関や国際法を都合のいいときだけ利用し、都合が悪くなれば批判あるいは無視する。そして、国内政治の力学に派生する、ちぐはぐな外交政策に関してさえ、ヨーロッパの支持を当然視するアメリカの傲慢な態度に問題はないのか。「より踏み込んだ責任分担を求めつつ、ヨーロッパ側の政策のすべてを拒絶する、現在のアメリカのアプローチでは、アメリカの最も重要な同盟諸国を離反させる危険がある」。長期的なパートナーシップには、相互の思いやりと双方向のコミュニケーション・チャンネルが必要なことをアメリカは再認識すべきだろう。

  • ユーロ・バッシング
  • 米国の欧州批判はお門違い
  • 米国のリーダーシップの矛盾
  • ヨーロッパの対米不満
  • アメリカ外交の「ダブル・スタンダード」
  • 幻想なきパートナーシップを
  • 信頼がすべてを決める

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