kapichka / Shutterstock.com

真の温暖化防止には炭素税の導入しかない

リチャード・N・クーパー ハーバード大学経済学教授

Toward a Real Global Warming Treaty

Richard N. Cooper カーター政権の経済担当国務次官、エール大学の学長を経て、現在ハーバード大学の経済学教授。最近の著作に、Economic Stabilization and Debt in Developing Countries(途上国の安定と債務)The MIT Press, 1992などがある。

1998年8月号掲載論文

地球温暖化という遠大な問題を、政府間の条約だけで防止しようとする試みには基本的に無理がある。条約は国境を超えた大まかな「責任分担」の手立てと、目的の達成に向けた国際的規律を与えるにすぎない。数億単位の世界市民がライフスタイルを根本的に変えない限り、変化は起きないはずだ。行動を起こさないわけにはいかないが、それでも気候の変化が人間にどのような影響を与えるかについての明確な科学的根拠がない状態で、世界規模での排出削減目標を国ごとに割り振る、京都会議(気候変動枠組み条約第三回締約国会議)での合意は、その実現を不可能とするほどに多くの議論を呼ぶ可能性が高く、客観性、公正さだけでなく、現実性に欠ける。温暖化防止という目的に関して国際的な合意があるのであれば、それを実現する互恵的で普遍的な「手段」を各国が共有することこそ大切であり、国際社会は化石燃料の使用に対するほぼ一律の炭素税課税のような、互いに合意できる行動を基盤にこの問題に取り組んでいくべきではないか。「税金は社会的に有用な活動よりも、有害な活動に課したほうが有益である」という真理のなかに問題の解決策があるはずだ。

  • 京都合意は機能しない
  • グローバル・イッシューへの対応
  • 国ごとの削減目標は合理的か
  • 合意をいかに実施するというのか
  • 炭素税の導入を
  • 炭素税の国際的再分配
  • 「手段」を共有せよ

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

Copyright 1999 by the Council on Foreign Relations, Inc.

Page Top