日本は金融崩壊へと突き進むか
Japan's Financial Mess
1998年6月号掲載論文
低迷する経済、膨大な不良債権、年金の財源不足を前に、日本経済はぬきさしならぬ状態に陥っている。新たに実施されている政策の多くは、不良債権の処理を遅らせるばかりか、その意図とは逆に、金融部門全般にわたる政府管理を強化することになるだろう。ビッグバンのイメージとは裏腹に、日本は現在の問題を、現行システムの根幹にはそれほど関係のない一過性の出来事と見ている。日本経済の低迷を打開し、その国際的余波を回避するには、いかに大きな改革、政策転換が必要か、それが日本、アジア、米国にとっていかに大切か。これを日本に理解させるには、米国が日本との交渉・協議チャンネルをすべて閉ざすというショック療法が必要なのかもしれない。
- 変わらない日本
- 管理された銀行か、株式市場か
- 出口の見えないバブル後遺症
- 低成長の原因
- 無視された市場原理
- 数字を取り繕う粉飾トリック
- ビッグバンは本物か
- アメリカは協議チャンネル閉ざせ
<変わらない日本>
一九九〇年代の日本の経済パフォーマンスはずっと不振続きであり、状況はわれわれをいらだたせ、懸念はつのるばかりだ。日本の金融部門の不振は、国民の生活を暗くしているだけでなく、海外にも影響を与え始めている。実際、日本の金融界のもろさの多くは、他のアジア諸国にもあてはまる。こう考えると、より重要で問題なのは、日本が自らの経済的困難にきちんと対処できていないだけに、他のアジア諸国が行うべき今後の改革についても悪いシナリオを想起させることである。
政府やメディアが描き出す、差し迫った金融改革「ビッグバン」のイメージとは裏腹に、現実は劇的という表現とはほど遠いものになるだろう。官僚や政治家たちの間には、日本型資本主義への強い信頼がいまだに存在し、金融市場を本気で自由化することに抵抗感を抱いている。一般の日本市民も規制撤廃を口やかましく要求することはない。金融ビッグバンという言葉が、人々に失業と私生活の不安定化を想起させるからだ。実際、日本人が過去半世紀の間に試みてきたのは、そうした不安をなくし、不確実性を取り除くことだった。・・・
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