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中国は「民主化」途上にあるのか?

ミンシン・ペイ  プリンストン大学助教授

Is China Democratizing?

Minxin Pei ハーバード大学、世界銀行のフェローを経て、現在はプリンストン大学の助教授(政治学)。主な著書に、『改革から革命へ 中国とソビエトにおける共産主義の死滅』(From Reform to Revolution: The Demise of Communism in China and the Soviet Union)がある。

1998年3月号掲載論文

中国の政治改革は経済改革に大きく後れをとっているが、それでもゆっくりと進展している。中国指導層の最優先課題は、急速な経済成長がつくり出す圧力に対する政府の管理能力を強化する方向で、「注意深い改革路線を実施する」ことにある。北京政府は、ソビエトが「法改革を実施する前に政治開放・民主化路線をとったために」政治システムそのものが崩壊したことを理解したうえで、現に法システムの整備に着手しているのだ。ただし、米国人が考えるような「民主化」は、中国政府が政治システムの堅固さに自信を持つまでは、今後も小さな可能性にとどまるだろう。

  • 「民主化」と「政治改革」
  • 鄧小平の政治改革
  • 世代交代を促す措置
  • 党ポストにも競争原理
  • 経済成長下、いかに政治秩序を維持するか
  • 独立色を強める全人代
  • 法システムの改革
  • 社会契約概念の見直し
  • なぜ民主化に抵抗するのか
  • 失われ始めた共産党の統合力
  • 指導層がめざす路線は?

<「民主化」と「政治改革」>

中国の政治システムの進化。これこそ米国の対中政策に影響を与え、その世論を二分している主要な要因である。クリントン政権の対中政策に批判的な人々は、二十年に及ぶ市場改革の時代を経ても、中国の政治システムは依然として抑圧的で非民主的だし、世界の民主主義に対する脅威にさえなってしまったという。彼らは、北京政府による政治抑圧、宗教弾圧、噂される核技術の輸出、不公正な貿易慣行などを引き合いに出して、強硬な対応をとることを求めている。

中国が人権問題をめぐって大幅に譲歩するのを拒んでいるために、クリントン政権も自らの対中姿勢を擁護しようにも、それが困難な状況にある。クリントン政権は、エンゲージメント(穏やかな関与、あるいは取り込み)政策が人権問題をめぐって好ましい結果を引き出したとする確たる証拠を示せないばかりか、中国の政治システムがより開放的な方向へ向かっているとみる説得力のある論拠も示せずにいる。・・・

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