それでもアジア経済は甦る
Asia’s Reemergence
1998年2月号掲載論文
「東南アジアの通貨危機はアジアの成長の終焉を示す兆候ではない」。通貨危機が適正に処理されれば、「アジア経済は二、三年のうちに再び高い成長率を取り戻すはずだ」。後発経済を先進諸国の成長のエンジンと連動させるために、多国籍企業の生産ラインとその技術を後発経済に取り込むことに見事に成功したからこそ、アジアは驚くべき経済成長を実現できた。アジアが、「制度・機構面での大きな制約(ゆえにではなく、)制約にもかかわらず、急速な成長を遂げた」ことを忘れてはならない。逆に言えば、アジア地域が直面する共通の一般的課題は金融統治(監督)システムの創設、そして、洗練された高所得国にふさわしい……法システムの導入なのである。「資本主義の諸制度を経済の急速なキャッチアップ・プロセスのための有効な手段にできることを証明してきた」アジアが、今後これらの課題に取り組んでいけば、西洋で誕生した資本主義システムのグローバルな有効性を実証しつつ、「二十一世紀初頭には世界の経済活動の中心地として再興隆しているだろう」
- アジア経済の「奇跡」?
- アジアの通貨危機の真実
- クルーグマンの間違い
- 東アジアの成長戦略
- 制度近代化の課題
- 興隆するアジアと欧米世界
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