戦後復興からEUへの遙かな道
Miles to Go: From American Plan to European Union
1997年8月号掲載論文
ヨーロッパの復興はマーシャル・プランなしではありえず、戦後ドイツは、ECとNATOを中軸とするヨーロッパの諸制度のなかに自らのパワーを織り込むことでヨーロッパの一員となり、米国との関係を深めるとともにフランスとの和解を目指した。だが冷戦が終結し、おそらく米中ロがその中枢を占めるであろう今後のグローバル秩序でのドイツの国益は、これまでのような米国との自動的な協調路線よりも、「EUのいっそうの進展、フランスとの密接な協力関係を中軸とするヨーロッパ統合」によって保障される。われわれを待ち受ける課題が一国家だけで対応できるものでないだけに、政治・経済、金融、国際社会での地位、歴史の教訓などのすべての観点から、ヨーロッパ人はますます「力強くて活力ある欧州連合」を求めている。だが、自立し、連帯を強めるヨーロッパへの米国の懸念は杞憂である。戦後復興も、ヨーロッパの団結と自立の証である欧州連合も、「米国が達成したもっとも偉大な成果の一つであり、それはマーシャル・プランなしには実現しなかった」のだから。
- 瓦礫のなかから
- パックス・アメリカーナ
- 戦後秩序を支えた政治家たち
- 「新脅威」と援助の本質
- 三極体制のなかの欧州の活路
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©1997 by the Council on Foreign Relations, Inc.