ニューライトの知識人たち
Germany's New Right
1997年2月号掲載論文
ホロコースト、ナチス・ドイツという大きな歴史の重荷を背負い、占領期にアメリカの多文化主義の洗礼を受け、何事にも罪悪史観にとらわれ控えめに徹してきた旧西ドイツ、そしていまや統一を果たし、事実上ヨーロッパの覇権国家となった統一ドイツ。自らが現実に手にしている力と、控えめな自己認識の隔たりのなかで、その乖離に目を向けようとしない政治家をよそに、ニューライトの知識人たちが積極的な発言を行ないだし、文化と歴史の継続性をめぐって大きな論争が起きている。「歴史の正常化」とは何を意味するのか。ニューライトたちの本当の狙いは何なのか。だが、「ニューライトの思想を前にして何もパニックに陥ることはない。それは、ドイツにおける一九八九年以後の自然の成り行きと考えることも可能だろう。おそらくドイツ人たちはナショナリズムという悪魔を追い払うためにも、それを抑え込むのではなく、むしろ一度表へと引きずり出すべきなのかもしれない」。
- ニューライトの台頭
- 「六八年組」対「八九年組」
- 六八年文化の揺れ戻し?
- 多文化主義への反発
- 過去の重荷からの解放
- 押しつけられた自己イメージ
- 「自信に満ちた国家」
- 思想は帰結をもたらすか
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