優先すべきは「独仏通貨統合」
Keeping Monetary Union on Track: Time for Another "Kohl Shock"
1997年1月号掲載論文
ドイツはともかく、フランスがマーストリヒトで定められた通貨統合の加盟基準を目標日までにクリアできる可能性は低い。だが、基準をねじ曲げてフランスの参加を強引に認めれば、ヨーロッパは政治的・経済的な大混乱に陥るかもしれない。基準を曖昧にすれば、参加資格のない国々までがドサクサ紛れに統合へ参加する道を開いて通貨統合への政治的反対派勢力を勢いづけ、さらに、金融資本家たちが一斉にヨーロッパ債券を売り、出口に殺到する危険があるからだ。こうしたシナリオを回避するのに必要なのは、今回もヘルムート・コールのリーダーシップによる英断、つまり、「コール・ショック」である。「ある気持ちのよい土曜日の朝に、ドイツ・マルクとフランス・フランを永久的にリンクさせると発表する」ことで、独仏通貨統合をミニEMUとして既成事実としてしまうことだ。
- 通貨統合をめぐる対立構図
- 財政赤字クライテリアの虚実
- ミニ通貨同盟を宣言せよ
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