欧州通貨統合という悪しき幻想
Euro Fantasies
1997年1月号掲載論文
ヨーロッパ通貨統合が伴う最大のコストとは、為替変動がなくなると同時に、その調整機能も消滅してしまうことだ。為替レートの変動を通じた競争力や価格面での調節機能を放棄すれば、結局は、その帳尻合わせを労働市場に押しつけることになる。そうでなくても福祉国家のいきづまりときわめて深刻な失業問題を抱えるヨーロッパの労働市場にツケが回れば、結局は高金利と高い失業率を招き、問題は経済にとどまらず政治領域に拡大していく。「アメリカは通貨統合を懸念している。その理由は、通貨統合がリセッションを伴う危険を秘め政治的問題を招くために、過去の例と同じく世界の他の地域に高いコストを強いると考えられるからだ」。欧州通貨統合は悪質で危険な幻想である。
- 通貨統合は万能薬か?
- 通貨統合の今後
- 基準を満たせない国はどうなる
- 加盟、非加盟のバランスシート
- EMUと主権
- 為替変動の利点の喪失
- 中央銀行の正統性
- 悪質で危険な構想
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