「歴史の終わり」の後の新世界地図
Social Capital and the Global Economy
1995年10月号掲載論文
グローバル経済の今後の鍵を握るのは、その社会が創造性豊かで、二十一世紀のビジネスの必要性に応えるための適切な組織形態を作りだせるかどうかであり、そして、これを左右するのが、「社会の構成メンバーが相互に信頼しあい、新たな集団や連合の形成にむけて協調するのを認めるような人的資本」、つまり「社会資本」である。言い換えれば、家族や血族の枠組みを超えて社会的に連帯できるかどうかが、グローバル経済の今後の鍵を握る要因なのである。この点、まったく異なる性格に特徴づけられる日本社会と中国系社会を同一視し、いわゆるアジア・モデルを唱える重商主義論者は明らかに間違っている。ポスト冷戦世界において、国家を区別するもっとも大きな違いは、「市民社会の性格、制度の底流に存在する社会的、道徳的習慣」なのである。
- 混乱した世界地図
- 経済と社会資本の関連
- 社会資本と産業構造
- 「アジア・モデル」をめぐる混乱
- ドル高をどこまで許容するか
- 文化を無視した不毛な経済論争
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