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「文明の衝突」批判に応える

サミュエル・ハンチントン ハーバード大学教授

If Not Civilization, What?

Samuel Huntington  ハーバード大学の政治学教授で、同大学のジョン・オリン戦略研究所所長。同氏は、一九九三年夏号で、「文明の衝突」を発表した。この小論は、「文明の衝突」に寄せられた批判に対する彼の反論だ。

1993年12月号掲載論文

混迷する現在の世界を説明できるパラダイムが、文明のパラダイムでないというのなら、いったいそれは何なのだろうか。普遍主義や、国家パラダイムで現状を説明できるはずはない。冷戦の終結とともに、「歴史が終わった」わけではなく、世界が一つに統合されたわけでもない。そこにあるのは、異なる文明に属する国家や集団間で繰り返される衝突ではないか。「人々が自らのアイデンティティを確認する際に重視し、そのために戦い、命をかけることも厭わないのは、(イデオロギーや経済利益ではなく)信仰、家族、血のつながり、信条といった(文明的)要素」だからだ。この文明衝突の力学を封じ込めるには、その力学の本質を見極めない限り不可能だ。西洋人は、近代化を遂げた他の人々も「われわれのように」なるべきだと考えているが、これはむしろ西洋の奢りであり、こうした考え自体、文明の衝突を引き起こす要因になる。切実に必要とされるのは、異なる文明の本質を見極め、「他の文明と共存していくすべを学んでいくこと」にほかならない。

  • ポスト冷戦世界の新パラダイム
  • 文明のパラダイム
  • 多文化主義とアメリカの将来
  • 批判への反論
  • 歴史は続く

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