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プーチンを育んだロシア的価値
―― ロシア文化に配慮した外交アプローチを

マイケル・キメージ アメリカ・カトリック大学教授(歴史学)

The People’s Authoritarian: How Russian Society Created Putin

Michael Kimmage
アメリカ・カトリック大学教授(歴史学)、ジャーマン・マーシャル・ファンド非常勤研究員

2018年9月号掲載論文

プーチンがロシア社会を自分のおもう方向へ強制しているのか、それとも、社会がプーチンを育んでいるのか。ロシアは実態のない国、つまり、古代の神話を基礎に(実態を隠そうとする)見せかけの村(ポチョムキン村)であり、民衆とは国家によって意思を授けられるポストモダンの意伝子(ミーム)にすぎないとみなされることも多い。だが現実には、プーチンがロシア社会に価値を押しつけたのではなく、ロシア社会の価値がプーチンの対外行動を支えている。多くのロシア人は、欧米はロシアに対して攻撃的かつ偽善的で自分たちを見下すような態度をとっているとみている。当然、ロシアの政治家たちにとって、欧米の要求に屈すれば、国内で重大な代償を支払わされる。欧米を公然と無視するプーチンを支えているのは、実際には、ロシア社会の価値に他ならない。

  • 実態のない国
  • 幻の王国
  • レーニンとスターリン
  • プーチンのロシア
  • 民主化からの逆コース
  • プーチン政権の本質
  • プーチンを育むロシア文化
  • ロシアとの共生

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