ウクライナ戦争と中国の選択
―― 軍事と経済を区別したバランス戦略
2022年6月号
「経済制裁で威嚇してもロシアのウクライナ侵攻を抑止できなかったアメリカは、いまや紛争の終結から長期化へと目標を見直している」と北京では考えられている。バイデン自身、「この先長い戦いに備えなければならない」と発言している。オースチン米国防長官が「ウクライナに侵攻できない程度にロシアが弱体化することを望んでいる」と発言したことも、アメリカはロシアの弱体化を優先しているという中国側の確信を高めている。北京は「ロシアを泥沼に引きずり込もうと(ワシントンは)ウクライナでの紛争を長引かせるつもりではないか」と懸念する一方、ロシアのウクライナ戦争についての中国の言動がどのようなものであれ、ワシントンが対中封じ込め戦略を緩めるとは考えにくいとみている。