ウクライナと核戦争リスク
―― 三つのシナリオ
2022年10月号
専門家の多くは、交渉によるウクライナ戦争の解決は当面実現しないと考え、血塗られた膠着状態が続くと予測している。この認識は正しいが、すでに長期化している戦争に破滅的なエスカレーションメカニズムが埋め込まれていることが過小評価されている。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたように、すでにワシントンは戦争に深く関わっており、米軍の兵士が引き金を引き、パイロットがボタンを押すまで、あと一歩のところまで来ている。米軍が介入した場合、プーチンを核使用に走らせることなく、ウクライナを救えるのか。ロシアがウクライナ軍にひどく追い込まれた場合には、モスクワが核を使用する恐れはないか。エスカレーションの先にあるものは、第二次世界大戦を超える犠牲と破壊という、まさに壊滅的な事態かもしれない。