1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

ロシアに関する論文

以下は、これまでに発表された北朝鮮関連のフォーリン・アフェアーズ論文、米外交問題評議会リポート、ガーズマン・インタビューシリーズなどを資料にフォーリン・アフェアーズ・ジャパンで作成したQ&A集。資料として用いた論文、リポート、インタビューの一部は、www.cfr.org、www.foreignaffairs.orgあるいはwww.foreignaffairsj.co.jpからアクセスできる。参考文献については文末を参照。

石油の枢軸?―イラク戦争と米ロ関係の行方

2003年4月号

デビッド・G・ビクター 米外交問題評議会 準シニア・フェロー
ナデジャ・M・ビクター イエール大学 リサーチ・アソシエート

米ロ政府は、ロシアの石油輸出を拡大することに大きな共有利益を見いだしている。アメリカにとっては、石油の供給ラインを多角化できるし、ロシアにとって、それは歳入増と雇用創出を意味する。だが、アメリカがイラクを攻撃すれば、石油価格は急落し、逆に、モスクワとアメリカの立場の違いが際立つことになるだろう。
経済の大部分を原油の国際価格に依存しているロシアにとって、石油価格の下落は致命傷となりかねないからだ。むしろ、石油の使用効率の改善を促したり、原子力発電及び核廃棄物処理のための新技術を共同で開発したりすることが、米ロ双方にとってよほど大きな利益となるのではないか。

「プーチンのロシア」の謎に迫る

2002年12月号

ダニエル・トレイスマン カリフォルニア大学準教授

専門家の多くは、プーチンがロシアを新たな存在へとつくり替えつつあるとみている。だが、表向きは変化していても、一枚皮をめくれば、エリツィンのロシアとプーチンのロシアの間に大きな違いはない。オリガークたちはいまも健在だし、彼が導入した改革の多くは見かけ倒しにすぎない。むしろ、新しい要素とは、着実な経済成長を背景にこれまでになかった楽観ムードが社会に漂い、若くて冷静な大統領を多くの市民が支持していることだろう。エリート、企業経営者、そして民衆の多くも、自分たちの生活は来年になればもっとよくなると考えている。心理的閉塞感が打ち破られたことこそ、今のロシアを説明する重要な要因なのかもしれない。

論争
サウジ石油の政治・経済的価値とテロ後の戦略地政学

2002年12月号

シブリー・テルハミ  メリーランド大学政治学教授  フィオナ・ヒル ブルッキングス研究所研究員   アブドラティフ・A・アルオスマン サウジ・アラムコ渉外担当役員

二〇〇一年九月の米同時多発テロ事件以降、サウジアラビアとアメリカの関係は政治的に微妙となり、流動化している。加えて、アメリカのサダム・フセイン追放作戦をめぐる米・サウジアラビア関係のきしみも取りざたされる。こうしたなか、世界でクローズアップされているのは、イラク侵攻後の中東情勢、サダム後のイラク再建、さらには、石油の価格と安定供給がどうなり、それが世界経済にどのような影響を与えるのか、シーレーン防衛が見直されることになるのか、そして、これらが世界の安全保障地図にどのような影響を与えるのか、という大きな問題だ。これらのすべてにおいて、サウジアラビアが重要な鍵を握っている。
「テロ後の世界が、ロシア、アメリカ、石油輸出国機構(OPEC)にとって、まったく新たな地政学の見取り図をつくり出していること」を踏まえた戦略をとることの必要性を説いた「石油をめぐるロシア対サウジの最終決戦」(The Battle for Energy Dominance, Edward L. Morse, James Richard, Foreign Affairs 2002 March/April,「論座」二〇〇二年五月号)は、世界で、また石油の九九・七%を輸入に依存する日本でも大きな話題となった。論文の筆者であるエドワード・L・モースとジェームズ・リチャードは、ロシア政府がテロ後の「エネルギーをめぐる新たな地政学状況を政治・経済的に立ち直る好機」ととらえていること、ロシアの石油企業が国際化、市場経済化しつつあることに注目し、ロシアとカスピ海周辺地域などの旧ソビエト地域における市場経済型の石油開発計画が実現すれば、「今後四年のうちに旧ソビエト諸国からの石油輸出の合計は、サウジアラビアの輸出にほぼ匹敵する規模になる」と指摘した。ここに掲載するのは、「石油をめぐるロシア・ファクターを考慮した、テロ後の石油戦略及び地政学の見直しの必要性」を説いた同論文に対する反論と、筆者たちによる再反論。

カスピ海資源開発の政治経済学

2002年4月号

ジャン・H・カリッキ ウッドロー・ウィルソン・センター研究員

カスピ海周辺のエネルギー資源を間違いなく地域市場、国際市場へ搬出するには、ロシアのパイプライン輸送に依存している現状を見直して、多層的なパイプライン建設を実現する必要がある。膨大な資源を有するカスピ海周辺諸国が、ロシアやイランの力を借りずにエネルギー資源とパイプラインを欧米と共同開発することこそ、アメリカと世界全体を潤すだけでなく、カスピ海周辺諸国にとっても自国の安全と繁栄を確保する最も確実な道であり、ブッシュ政権はこの方向での政策面の見直しを早急に行うべきだ。

石油をめぐるロシア対サウジの最終決戦
――エネルギー安保の分水嶺

2002年3月号

エドワード・L・モース  前米国務副次官補(国際エネルギー担当)、ジェームズ・リチャード ファイヤーバード・マネジメント社ポートフォリオマネジャー

ロシアの石油企業によるロシア、中央アジア地域での開発が実現すれば、今後4年のうちに旧ソビエト諸国からの石油輸出の合計は、サウジアラビアの輸出にほぼ匹敵するものになる。九月十一日が、ロシア、アメリカ、石油輸出国機構(OPEC)にとって、全く新たな地政学状況を作りだしていることを、ロシアは、政治・経済的に立ち直る好機と捉えている。問題は、サウジアラビアが、ロシアの攻勢を阻止できるほどの、徹底した価格戦争を戦う余力があるかどうかだ。

対テロ米ロ同盟とロシアの民主主義

2001年11月号

ティモシー・J・コルトン ハーバード大学政治学教授  マイケル・マクファール  スタンフォード大学政治学準教授

ブッシュ政権はテロという新たな世界規模の脅威に対する国際連帯を形成しようとするあまり、民主国家という連帯の相手に求められる資格を無視した動きに出るかもしれない。強権政治への逆コースをたどりつつあるロシア政府も、この対テロリズム連合に協力を表明した以上、アメリカに統治面でとやかく言われることもなくなるだろう。だが、対ロシア民主化支援を強化しないかぎり、アメリカの安全保障に将来大きな悪影響が出る。かつての宿敵の国境内に民主主義を根づかせるための努力をいまこそ再強化すべきである。

レビュー・エッセイ
核の存在理由を問い直せ

2001年8月号

ロバート・ジャービス  コロンビア大学国際政治学教授

アメリカの安全保障政策をうまく機能させるには、その政策を国際社会が受け入れて認めることが前提だが、現実には世界の多くの諸国が、(北朝鮮やイラクよりも)むしろアメリカのことをならず者の超大国と見ている。ミサイル防衛構想に関連して、大量破壊兵器、ならず者国家、テロリズムに対する脅威認識が高まっているのは、アメリカの安全保障に対する伝統的な脅威が存在しなくなったためであり、これらが現実上の問題だからではない。外交政策の一手段として核兵器が存在するわけで、その逆ではないことを認識し、核兵器がどのように外交を利するかが、核の論争の基本テーマでなければならない。

米外交問題評議会ミーティング
オルブライトVS.キッシンジャー
――米中・北朝鮮、ミサイル防衛、人道的介入の将来

2001年6月号

ジョージ・シュルツ ウォーレン・クリストファー  マドレーン・オルブライト ヘンリー・A・キッシンジャー

私が懸念しているのは、偵察機接触事故が、権力移行期に突入した中国において強硬派の立場を有利にしはしないか、一方でわれわれが中国を新たな敵対勢力と決めつける動きにつながりはしないかということだ。(オルブライト)

われわれがなすべきこと、われわれにできること、われわれが望むこと、そしてわれわれにはできないこと、これらを区別して理解しなければならないし、国益概念にはこれらのすべてがかかわってくる。(キッシンジャー)

米外交問題評議会ミーティング
キッシンジャーが読み解く新世界
――元大統領補佐官が語る新政権の課題

2001年5月号

リチャード・V・アレン、ロバート・C・マクファーレン  

アジアは外交的にはグローバル・システムの一部を形成しているが、戦略的には各国が互いに相手国を潜在的な敵対勢力と見なしていた十九世紀のヨーロッパと同じメカニズムでいまも動いている。だが、最大の問題は特定の一国がアジアを支配しようと試みることで、かつてそのような試みをした日本とアメリカは戦争をした。しかし、そのような試みが具体化していない現状では、中国を含むいかなる国も敵対国と見なすべきではない。(キッシンジャー)

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