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ロシアに関する論文

CFRインタビュー
プーチンの政治的去就と米ロ関係

2007年10月号

スティーブン・セスタノビッチ 米外交問題評議会 ロシア・ユーラシア担当シニア・フェロー

人気の高いプーチン大統領が、統一ロシアの選挙人名簿の一位に名を連ねることで、この政党を議会選挙で勝利に導けるとすれば、プーチンが首相になってもおかしくはない。「だが、本当にそうなのか、はっきりしない」とロシア問題の専門家、スティーブン・セスタノビッチは言う。たんに、統一ロシアの候補者名簿に名を連ねることで、議席を増やし、議会運営をしやすくしたいだけなのかもしれない。プーチンは、われわれ欧米の専門家とのゲームをまるで楽しんでいるかのようだ。これは、「彼がルールを書いた国際的な推測ゲームだ」と同氏は現状を描写する。また、中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱を示唆し、欧州通常戦力(CFE)条約の履行を凍結するなど、プーチン政権が対外的強硬路線をとるのは、「自国が弱体化していたときに結ばれた合意について、再度交渉したい」という思惑があるからだとコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.org のコンサルティング・エディター)。

CFRミーティング
核戦争の危険を低下させるには
――他国と協調して脅威を抑え込むか、
それとも壊滅的事態に直面するか

2007年10月号

スピーカー
サム・ナン/元米上院議員
司会
ジェームス・ホーグ/フォーリン・アフェアーズ誌編集長

60年間、核戦争が起きなかったからといって、われわれが安心する理由はどこにもない。今後も、一度や二度、幸運に恵まれる程度では、核戦争を回避するのは難しいかもしれない。核の惨劇を回避できるとすれば、すべての核保有国が核管理をめぐってきわめて慎重な態度をとり、賢明で合理的な判断をするだけでなく、幸運に恵まれる必要がある。……われわれが現在直面する最大の脅威は、壊滅的なテロ、核保有国の数の増大、そして核の偶発使用であり、これらの脅威に対処していくには、モスクワ、北京、その他と協調していかなければならない。他国と協調して脅威を抑え込むか、それとも壊滅的事態に直面するかという選択肢にわれわれは直面している。(S・ナン)

Classic Selection
21世紀は権威主義的資本主義大国の時代になるのか

2007年8月号

アザル・ガット テルアビブ大学教授

現在の中国とロシアは、日独が第二次世界大戦に敗れた1945年以降、姿を消していた権威主義的資本主義パワーの再来にほかならない。日独の場合、アメリカを相手にするには、人口、資源、潜在力があまりに小さすぎたが、中国とロシアは、日独よりもはるかに国家規模が大きいし、そもそも、権威主義体制下の資本主義のほうが民主体制下の資本主義よりも効率が高い。実際、日独という権威主義的資本主義国家が戦後も存続していれば、アメリカにとって、共産主義中央統制経済のソビエト以上に大きな脅威と課題をつくりだしていたかもしれない。中国とロシアに代表される権威主義的な資本主義国家が、近代性の進化をめぐってリベラルな民主主義の代替策を提示することになるかもしれないし、グローバル経済に自分のルールで関与するようになるかもしれない。リベラルな民主主義が、最終的に勝利を収めるという保証はどこにもなく、権威主義的資本主義がリベラルな民主主義に代わる魅力的な選択肢とみなされるようになる可能性もある。

この数年来、アメリカとロシアは、事あるごとに衝突してきた。最近も、チェコとポーランドにミサイル防衛網を配備しようとするワシントンの計画に、ロシアは激しく反発した。プーチン大統領は4月末の年次教書演説でも、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を批判した上で、欧州通常戦力(CFE)条約の履行義務を停止すると表明し、イワノフ第一副首相も5月3日に、ロシア軍は今後、「部隊の移動をNATOに通報しない」と発言した。だが、CFE条約の凍結を含むプーチンの攻撃的路線は、全般的な米ロ関係の悪化という問題が引き起こした現象にすぎず、CFE条約そのものが問題ではないとする見方もある。「米ロ関係が緊張しているのは、原油価格の高騰と経済成長をバックに、ロシアが主要な地政学的プレイヤーとしての地位を取り戻しつつあること、プーチン政権が、ロシアが弱体化していた時期に弱者の立場から結んだ条約や契約を改訂するか、反故にしていく戦略をとっていることに関係がある」とみる専門家は多い。

ロシアの帝国的野心を封じ込めよ

2007年5月号

ユリア・ティモシェンコ
ウクライナ元首相

プーチン大統領は、これまで一貫して「偉大なるロシアを復活させる」という目的を掲げ、国内的には権威主義体制を強化し、対外的にもエネルギー資源と軍事力を武器に近隣諸国を自国の勢力圏に取り込むことで超大国の地位を取り戻すことを狙っている。原油価格の高騰を追い風に再生したロシアは、いまやエネルギー資源供給を武器にヨーロッパさえも脅かしつつある。考えるべきは、ロシアに政治・経済改革を求める欧米のこれまでの路線では、ロシアの伝統的な膨張主義、そして近隣諸国を犠牲にして超大国の地位を取り戻そうとする戦略には太刀打ちできないということだ。パワーにはパワーで対抗するという外交の鉄則を思い出し、欧米、とくにヨーロッパは、ロシアの資源外交による揺さぶりにも動じない結束を持つ必要がある。

CFRインタビュー
ロシアは天然ガス版 OPECの形成を試みているのか

2007年4月号

フィリップ・K・バレジャー PKバレジャーLLC社長

石油や天然ガスを含む資源へのクレムリンのアプローチは一貫している。それは、「資源から最大限の利益を引き出すという重商主義路線」にほかならない。ロシアが天然ガス版のカルテルを短期的に組織することはあり得ないとしても、長期的に考えると天然ガス輸出のカルテルが形成される可能性は高い。状況をこう分析するエネルギー問題の専門家、フィリップ・バレジャーは、「中国への輸出インフラ、ヨーロッパへのさらなる輸出インフラを整備すれば、気に入らない国には供給を止めるなどの資源戦術をロシアはとれるようになる」と指摘する。ヨーロッパにとって、ロシアに代わる供給源はイランしかないが、これは政治的に魅力的な選択肢とはなり得ないとみる同氏は、ヨーロッパが政治的リスクを減らすには、(ロシア、イランの天然ガスを)トルコ経由のパイプライン供給に頼るしかないが、このやり方も、トルコの欧州連合(EU)加盟問題に絡んでくるので、不安定化のリスクを抱えることになると示唆した。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

Classic Selection
核の優位を確立したアメリカ
――核抑止時代の終わりか

2007年2月号

ケイル・A・リーバー  ノートルダム大学政治学助教授 、 ダリル・G・プレス  ペンシルベニア大学政治学準教授

近いうちに、アメリカが核の先制攻撃によってロシアや中国の長距離核のすべてを破壊し、反撃能力を一度に粉砕できるようになる日がやってくる。この核のパワーバランスの劇的なシフトは、アメリカが核システムを持続的に改善し、ロシアの核兵器がしだいに時代遅れになり、中国の核戦力の近代化がゆっくりとしたペースでしか進まなかったことの帰結である。われわれのシミュレーションでも、ロシアの戦略核のすべてを一度の核攻撃で破壊できるという結果が出ている。相互確証破壊の時代、核抑止の時代は終わりに近づきつつある。今後、問われるのは、核の優位を手にしたアメリカが、国際的にどのような行動をとるかだろう。

CFRブリーフィング
米ロは衝突コースにあるのか?

2007年2月号

Lionel Beehner (Staff Writer, www.cfr.org)

プーチン大統領率いるロシアとアメリカは、これまでも協調と対立を繰り返す微妙な関係にあったが、ここにきて、双方は相手を明確に批判するようになった。アメリカの弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの離脱、北大西洋条約機構(NATO)の拡大、かつてロシアの勢力圏だった旧ソビエト諸国における民主化運動への欧米の支援などをめぐって、米ロはこれまでもことあるごとに対立してきたが、それでも大きな対立局面にいたることはなかった。だが、プーチンは、最近ドイツのミュンヘンで開かれた国際安全保障をめぐる国際会議で、「アメリカは単極世界の構築を試み、核の軍拡レースを復活させ、国際的紛争の解決に無節操に武力を用いている」とワシントンを痛烈に批判し、これに対してロバート・ゲーツ国防長官は、「ロシアの批判を聞くと、まるでわれわれが冷戦時代にあるかのような錯覚に陥る」とコメントしている。米ロはこのまま衝突コースを歩み、世界は再び米ロの対立を軸に切り分けられることになるのか。それとも……。

モスクワが自国のエネルギー資源を外交ツールとして用い、国内のエネルギー産業への支配体制を再度強化しようとしていることに、諸外国は警戒を強めている。ごく最近も、220億ドル規模のサハリン2プロジェクトの経営権を、合弁プロジェクトに参加している外資企業3社から政府系の天然ガス独占企業であるガスプロムに移動させるという強引な行動に出ている。また、ベラルーシ、ウクライナ、グルジアなどの近隣国に対して、強引に天然ガスの供給価格の引き上げを受け入れさせようとするロシアの手法は、国際的に広く批判されている。そこに浮かび上がってくるのは、資源を外交ツールとして用い、ロシア政府の戦略資源の支配権を再確立し、エリツィン政権時代の外国との契約を見直そうとするプーチン政権の戦略である。

CFRブリーフィング
北朝鮮経済制裁とイランの核問題の行方

2006年11月号

ライオネル・ビーナー  CFR スタッフライター 

今後、北朝鮮に対する厳格な制裁措置が間違いなく履行されていけば、イランも考えを改めるかもしれないが、現実にそうなるとは思えないし、中国とロシアが、イランに対して強硬な路線へとシフトするとも考えにくい。むしろイランの交渉上の立場は今後強まっていくと考える専門家は多い。北朝鮮は核不拡散条約(NPT)から離脱し、公然と核開発の意図を表明し、プルトニウムの再処理を通じた核分裂物質の生産を試みていたが、イランの場合、ウラン濃縮による核分裂物質の生産を試みているとはいえ、今もNPTに加盟しており、核兵器の開発ではなく、核の平和利用を目指していると繰り返し表明している。ブッシュ政権の高官のなかには、イランのような核開発の初期段階にある相手には、外交的に対処したほうが成果を期待できると考える者もいる。

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