プーチンとシリア
―― 彼はいかにオバマを孤立させ、それを利用していくか
2013年9月号
もはやシリア攻撃は避けられないとプーチンが観念し始めたタイミングで、彼に追い風が吹き始めた。英議会が武力介入に反対し、フランスも介入には条件をつけている。オバマも、議会の承認を求めた。G20で孤立していたのは、プーチンではなく、オバマだった。結局のところ、プーチンの目的はアサドを助けることではない。彼は、ロシアの北カフカス地域の過激派とのつながりを持つテロ集団が、シリアのアサド体制に対する攻撃をやめて、槍の矛先をロシアのターゲットに向けることを警戒している。プーチンが学んだ柔道の極意は、相手を床にたたき付けるのではなく、相手のバランスを崩すところにあり、いまや見事にオバマはバランスを失っている。プーチンは自分が何をしているかを理解している。緊張が高まった時に、他の人が無謀にも介入したり、行動したりするのを、彼は背後から見守っている。彼は、相手をからかい、いらだたせることで、相手がバランスを崩し、自分に有利な動きをするようにし向ける術を知っている。