市場経済・民主主義は淘汰されたのか
―― 旧共産圏改革に関する幻想と現実
2015年1月号
旧東側諸国では「市場経済・民主主義モデルへの移行をうまく成功させられなかった。機会をフイにしてしまった」という喪失感が漂っている。年金生活者が苦しむ一方で、少数の新興財閥が誕生している。選挙では不正が横行し、政治は独裁者に牛耳られている。中国の台頭やグローバル金融危機に衝撃を受けた一部の専門家は、「権威主義的国家資本主義が、機能不全に陥ったリベラルな民主主義に対する力強い代替策を提供している」とさえ考えるようになった。だが、この認識は間違っている。むしろ、旧東側諸国の暮らしは劇的に改善している。市場経済・民主主義体制に移行して以降、これらの国は急速な成長を遂げ、いまや人々の暮らしはこれまでよりもはるかに豊かになった。寿命も伸び、幸せに暮らしている。市場改革、民主化努力、そして政治腐敗との戦いは、完全ではなかったにせよ、失敗ではなかった。・・・・