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2024.11.19 Tue

トランプとヨーロッパの自立
―― ウクライナの命運

トランプ大統領が誕生すれば、2期目には、ヨーロッパが直面する不安定な状況はさらに悪化するかもしれない。だが、安全保障と経済を守るために行動を起こし、具体的な措置を講じることは、ヨーロッパの手に委ねられている。(ラヤ他)

トランプは、北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を決断し、ウクライナを見捨て、プーチンとのパートナーシップを模索するかもしれない。だが、彼は決意に乏しく、無謀なアイデアを実行に移すことはめったにない。むしろ、大混乱をもたらす危険があるのは、トランプのビジョンよりも、気まぐれな性格だろう。(フィックス、キマージ)

欧米は、まずウクライナの軍事力を強化し、その後、戦闘が下火になったタイミングで、モスクワとキーウを戦場から交渉テーブルへと向かわせる必要がある。次の戦略は、今年後半に停戦を仲介し、それを、戦争を終結させることを目的とする和平プロセスでフォローアップすることでなければならない。(ハース、クプチャン)

次期米大統領と欧州
―― なぜ欧州の自立が必要なのか

2024年3月号 アランチャ・ゴンサレス・ラヤ カミーユ・グランド カタジナ・ピサルスカ ナタリー・トッチ グントラム・ヴォルフ

ヨーロッパの指導者たちは、バイデンなら、大西洋の絆を守り、混乱する大陸と近隣諸国にヨーロッパがより大きな責任を果たすための時間と支援を与えてくれると考えている。だが今後、そうした配慮は彼からも得られないかもしれない。もちろん、トランプ大統領が誕生すれば、2期目には、ヨーロッパが直面する不安定な状況はさらに悪化するかもしれない。だが、安全保障と経済を守るために行動を起こし、具体的な措置を講じることは、ヨーロッパの手に委ねられている。誰がワシントンで政権を担おうと、一貫したパートナーとしてアメリカを頼ることはもはやできないかもしれない。ヨーロッパの指導者たちは自分たちが成長しなければならないこと、つまり、アメリカへの依存度を低下させるべきことを理解している。

ヨーロッパが備える脅威の本質
―― ドナルド・トランプと米欧関係の崩壊

2024年5月号 リアナ・フィックス 米外交問題評議会 欧州担当フェロー マイケル・キマージ 米カトリック大学 歴史学教授

トランプは、北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を決断し、ウクライナを見捨て、プーチンとのパートナーシップを模索するかもしれない。だが、彼は決意に乏しく、無謀なアイデアを実行に移すことはめったにない。むしろ、大混乱をもたらす危険があるのは、トランプのビジョンよりも、気まぐれな性格だろう。道徳観念がひどく乏しく、世間の注目を集め、金儲けをし、あるいは権力と地位を高めるためなら何でもする。トランプは瞬く間に大西洋関係を破壊してしまうかもしれない。実際、アメリカのヨーロッパとの歴史的なつながりを破壊することを「勝利」として売り込めるのなら、トランプはそうするだろう。戦争をあまりにもよく知る大陸が、恒久的な平和でも、鉄のカーテンでもなく、再びカオスに包まれる未来は、決して幻想ではない。・・・

新しいウクライナ戦略を
―― 戦場から交渉テーブルへの道筋

2023年6月号 リチャード・ハース 米外交問題評議会会長 チャールズ・クプチャン 米外交問題評議会シニアフェロー

欧米は、まずウクライナの軍事力を強化し、その後、戦闘が下火になったタイミングで、モスクワとキーウを戦場から交渉テーブルへと向かわせる必要がある。次の戦略は、今年後半に停戦を仲介し、それを、戦争を終結させることを目的とする和平プロセスでフォローアップすることでなければならない。この外交的駆け引きは失敗する危険が高いものの、戦費がかさみ、軍事的に膠着状態に陥るリスクがある以上、戦闘の再発を防ぎ、永続的和平を実現するための、安定した停戦を迫る価値はあるだろう。すでに、ウクライナの目標は欧米の利益と食い違いをみせはじめている。これまでのスタイルを続けるのは賢明でも持続可能でもない。

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2024年11月号(2024年11月10日発売)

Contents

  • 新国際主義外交の薦め
    アメリカと世界

    コンドリーザ・ライス

  • 流動化する世界と米再生戦略
    アメリカとリビジョニストパワー

    アントニー・ブリンケン

  • ビッグテックのクーデター
    いかにパワーシフトを抑えるか

    マリーチェ・シャーケ

  • 未来の戦争と新しい兵器
    新しい戦争はすでに具体化している

    マーク・A・ミリー、エリック・シュミット

  • 何が戦争を食い止めるのか
    自制かエスカレーションか

    エリック・リン=グリーンバーグ

  • 保護主義の台頭とWTOの衰退
    貿易秩序の崩壊は何を意味するか

    クリステン・ホープウェル

  • 再生する資本主義
    スイス、台湾、ベトナムに学ぶ

    ルチール・シャルマ

  • 中国の政治腐敗と格差
    壮大なスケールの汚職

    ブランコ・ミラノヴィッチ、リー・ヤン

他全9本掲載

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