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2025.4.4 Fri
中国とどう向き合うか
―― デカップリング、関税、パワーバランス
平時に対中デカップリングを強行すれば、ワシントンがまさに回避したい紛争へ北京を向かわせる恐れがある。経済的混乱のなかで、台湾を侵略する機会も近く失われると考えて、武力行使に乗り出すかもしれないからだ。(ブルックス、バーグリー)
国際経済システムを危機から守るには、デカップリングプロセスを国際ルールに即したものにし、命令や統制ではなく市場の力を重視し、各国の国益と経済安全保障上の利益を守る一方で、ほとんどの国が米中の両方と貿易を続けられるようにする必要がある。(フレイマン、ブロムリー)
中国は、信頼できないメンバーで構成される反欧米枢軸を率いてアメリカと対立することが正しいのか、確信が持てずにいる。これは、ワシントンが、封じ込めの準備をしつつも、新たな外交努力を通じて中国の意図を試すチャンスを手にしていることを意味する。(ラドチェンコ)
対中デカップリング
―― 衝撃を抑え、効果を最大化するには
2025年4月号 スティーブン・G・ブルックス ダートマス大学 政治学教授 ベン・A・バーグリー 米財務省 政策アナリスト

平時に対中デカップリングを強行すれば、ワシントンがまさに回避したい紛争へ北京を向かわせる恐れがある。経済的混乱のなかで、台湾を侵略する機会も近く失われると考えて、武力行使に乗り出すかもしれないからだ。さらに、経済的遮断で中国に大きなダメージを与えるには、米同盟国の参加が不可欠だが、同盟国は、平時の経済的遮断は躊躇するだろう。アメリカが中国を経済的に切り離すことで受ける被害は比較的小さいかもしれないが、日本、韓国、オーストラリアを含むパートナー諸国は大きな代償を払うことになる。むしろワシントンは、危機に備えて、デカップリングを温存することで、対中抑止力を維持する一方で、同盟諸国が痛みに耐えられるように、経済同盟を組織して対策を考案していくべきだ。
米中衝突と世界経済戦争
―― その経済・貿易リスクを低下させるには
2025年3月号 アイク・フレイマン スタンフォード大学フーバーフェロー ヒューゴ・ブロムリー ケンブリッジ大学地政学センター リサーチフェロー(応用歴史学)

中国が東アジアの米軍基地を攻撃するという深刻な危機シナリオが現実になっても、中国経済との全面的なデカップリングを直ちに試みるのは、世界経済戦争を誘発しかねない危険なギャンブルだ。むしろ、重要な製品や物資のサプライチェーンを中国から国内や友好国へリショアリング(移転)しつつも、それほど重要でないサプライチェーンは危機に直面しても(短期的には維持し)長期的に切り離していく措置をとるべきだ。国際経済システムを危機から守るには、デカップリングプロセスを国際ルールに即したものにし、命令や統制ではなく市場の力を重視し、各国の国益と経済安全保障上の利益を守る一方で、ほとんどの国が米中の両方と貿易を続けられるようにする必要がある。
反欧米枢軸と中国の立場
―― 北京はロシア、北朝鮮をどうみているか
2025年4月号 セルゲイ・ラドチェンコ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際問題研究大学院 特別教授

中国は、ロシア、北朝鮮、イランとある種の「枢軸」を形成しているという考えに激しく抵抗している。平壌の金正恩政権は、北京のいら立ちの大きな原因だし、中ロは協力しているとしても、その関係は同盟ではなく、「無制限」のパートナーシップからもかけ離れている。要するに、中国は、信頼できないメンバーで構成される反欧米枢軸を率いてアメリカと対立することが正しいのか、確信が持てずにいる。これは、ワシントンが、封じ込めの準備をしつつも、新たな外交努力を通じて中国の意図を試すチャンスを手にしていることを意味する。ワシントンは中国に、ウクライナでの戦争を終わらせるためにロシアを交渉テーブルに着かせる直接的な役割を与えるべきではないか。