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2026.1.20 Tue
イランとアメリカ
―― 対立の歴史を終わらせるには
ワシントンはイランを封じ込めたままにし、イスラエルに時折「草刈り」をさせることもできる。だが、テヘランに外交を試みることもできるはずだ。テヘランとの関係を新たな軌道に乗せ、イランの外交・核政策と政治指導層内のパワーバランスの双方を変えるような新たな外交取引を模索すべきだろう。(ナスル)
なぜ2017年末に、イラン民衆は街頭デモに繰り出し、不満の声を上げたのか。経済的苦境をその理由に挙げるメディアは多い。しかし、改革路線を示唆してきたロウハニが逆に保守・強硬派にすり寄る事態を前に、民衆が失望し、怒りを募らせていることを忘れてはならない。・・・(バタンカ)
威嚇、経済制裁、大言壮語で敵対勢力が譲歩するか、より優れた取引を手に入れられると期待するのがトランプの外交パターンだ。そうした戦術が何を引き起こすかを想定できず、逃げ場のない袋小路に自らを追い込むのもパターン化している。 (ゴードン)
イランとアメリカ
―― 対立の歴史を終わらせるには
2025年11月号 バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院 教授(国際問題・中東研究)
12日間戦争は明らかにイランを弱体化させ、これまでのテヘランの戦略は、持続不可能な状態に陥った。この現状なら、ワシントンはイランを封じ込めたままにし、イスラエルに時折「草刈り」をさせることもできる。だが、テヘランに外交を試みることもできるはずだ。テヘランとの関係を新たな軌道に乗せ、イランの外交・核政策と政治指導層内のパワーバランスの双方を変えるような新たな外交取引を模索すべきだろう。たとえ両国の歴史が失われた機会に満ちていようと、過去が必ずしも今後のプレリュードである必要はない。両国はイランの核能力に関する緊急の合意をまとめるためだけでなく、信頼を築き、両国関係の新たな道筋を示すためにも、外交を受け入れる必要がある。
イラン民衆の本当の不満
―― 保守派を見限り、改革を求める若者たち
2018年2月号 アレックス・バタンカ 米中東研究所シニアフェロー
なぜ2017年末に、イラン民衆は街頭デモに繰り出し、不満の声を上げたのか。経済的苦境をその理由に挙げるメディアは多い。しかし、改革路線を示唆してきたロウハニが逆に保守・強硬派にすり寄る事態を前に、民衆が失望し、怒りを募らせていることを忘れてはならない。最高指導者の地位を得たいロウハニの個人的思惑もあるのかもしれない。しかし、民衆がデモに繰り出したのは、選挙で選ばれた大統領と議会の立場を、ハメネイや革命防衛隊など選挙を経ない保守強硬派が無視するか、覆している現状に、もはや我慢できなくなったからだと考えることもできる。「ハメネイに死を」、「聖職者たちを政治から追い出せ」というデモ隊のスローガンは、いまやイランの民衆が、1979年のイラン革命以降、もっとも過激な変革を求めていることを意味する。
トランプ外交は誰を追い込んだのか
―― イラン、中国、北朝鮮それともアメリカ
2019年7月号 フィリップ・ゴードン 米外交問題評議会 シニアフェロー(米外交政策担当)
威嚇、経済制裁、大言壮語で敵対勢力が譲歩するか、より優れた取引を手に入れられると期待するのがトランプの外交パターンだ。そうした戦術が何を引き起こすかを想定できず、逃げ場のない袋小路に自らを追い込むのもパターン化している。イランだけでなく、ベネズエラのケースでも「後退か軍事力行使」が残された選択肢となりつつあるし、中国と北朝鮮へのアプローチも同様に袋小路に追い込まれつつある。一方で、トランプが「戦争は望んでいない」とペンタゴンの高官に述べたとすれば、おそらく、彼はアメリカが不用意に紛争に巻き込まれていくリスクを予見し、それを回避したいと考えているのかもしれない。問題は、戦争を回避するのを助けてきた側近たちがもはやいないことだ。


