2025.2.14 Fri

<Anthology Vol. 53>
変化した潮流と国際システムの再編
―― 激化する政治・経済・技術的混乱にいかに備えるか

テクノロジー企業は議会にロビイストを送り込み、シンクタンクや学術機関に資金を提供して、世界がテクノロジー産業をどうとらえるか、その理解を形作っている。民主主義が生き残るには、指導者たちはこのクーデターと正面から向き合い、闘わなければならない。(シャーケ)

アメリカは自由貿易へのコミットメントをすでに放棄している。関税を課し、複数の産業に巨額の補助金を投入することで、世界貿易機関(WTO)のルールと原則を公然と踏みにじっている。中国も、補助金や経済的威圧策を行使して貿易をゆがめ、次第にこれを兵器として用いつある。(ホープウェル)

ウクライナ戦争が他のヨーロッパ地域へ拡大すれば、北大西洋条約機構(NATO)とロシアは、ともに地上ロボットと空中ドローンをまず投入することで、人間だけでは攻撃も防御もできない広範な前線をカバーすることになるだろう。すでに戦争の本質は変化している。(ミリー、シュミット)

ビッグテックのクーデター
―― いかにパワーシフトを抑えるか

2024年11月号 マリーチェ・シャーケ スタンフォード大学 サイバー・ポリシー・センター フェロー

政府からビッグテックへのパワーシフトが進行している。テクノロジー企業は議会にロビイストを送り込み、シンクタンクや学術機関に資金を提供して、世界がテクノロジー産業をどうとらえるか、その理解を形作っている。民主主義が生き残るには、指導者たちはこのクーデターと正面から向き合い、闘わなければならない。ビッグテックへの社会の全般的依存、彼らが活動するデジタル空間が法的グレーゾーンであることなどが変化の潮流を形作っている、彼らは、技術を速いペースで進化させて、法律を回避し、政策による反撃を心配することなく、疑わしい行動をとっている。政府は公益性のあるテクノロジーに力を与え、テクノロジーに関する専門知識を再構築して対抗して必要がある。

保護主義の台頭とWTOの衰退
―― 貿易秩序の崩壊は何を意味するか

2024年11月号 クリステン・ホープウェル ブリティッシュ・コロンビア大学 教授

アメリカは自由貿易へのコミットメントをすでに放棄している。関税を課し、複数の産業に巨額の補助金を投入することで、世界貿易機関(WTO)のルールと原則を公然と踏みにじっている。中国も、補助金や経済的威圧策を行使して貿易をゆがめ、次第にこれを兵器として用いつある。しかも、インドネシアやインドを含む、他の諸国もアメリカのやり方に追随して、WTOルールを公然と無視するようになった。このままWTOルールを無視する国が増え続ければ、いずれ、多国間貿易システムが完全に崩壊するティッピングポイントを迎え、世界は1930-1940年代へと回帰していくことになるのかもしれない。

未来の戦争と新しい兵器
―― 新しい戦争はすでに具体化している

2024年11月号 マーク・A・ミリー 前統合参謀本部議長 エリック・シュミット 元グーグル会長兼CEO

ウクライナ戦争が他のヨーロッパ地域へ拡大すれば、北大西洋条約機構(NATO)とロシアは、ともに地上ロボットと空中ドローンをまず投入することで、人間だけでは攻撃も防御もできない広範な前線をカバーすることになるだろう。すでに戦争の本質は変化している。イスラエル軍は、AIプログラム「ラベンダー」を使って、ハマスの戦闘員を特定し、彼らの自宅を爆撃している。人が攻撃の承認にかける時間はわずか20秒だ。最悪のシナリオでは、AI戦争は人類を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べて、AIモデルでは、核戦争を含めて、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかっている。

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2025年2月号(2025年2月10日発売)

Contents

  • 歴史のなかのトランプ
    繰り返される秩序との闘い

    マーガレット・マクミラン

  • 韓国の核武装を認めよ
    北朝鮮の脅威とアメリカの干渉

    ロバート・E・ケリー、キム・ミンヒョン

  • プーチンの対欧米戦争は続く
    ウクライナを越えた戦い

    アンドレア・ケンドール=テイラー、マイケル・コフマン

  • 北京が対米関係を静観できる理由
    緊張と孤立主義の間

    ヤン・シュエトン

  • いかに戦争を終わらせるか
    ウクライナのNATO加盟を認めよ

    マイケル・マクフォール

  • 対中貿易規制と国際協調
    グローバル貿易と同盟関係

    ピーター・E・ハレル

  • 中国の報復社会
    何が問題を引き起こしているのか

    ペイドン・サン

  • AI開発レースの地政学リスク
    米中、ビッグテック、ミドルパワー

    レバ・グージョン

他全9本掲載

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