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2026.7.17 Fri

拡大する中国のアジア勢力圏
―― 日本、中国、アメリカ

東南アジアには二つの国家集団が存在する。カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムなどの中国寄りの大陸国家、そして、米中間のバランスをとるインドネシア、マレーシア、シンガポールなどの海洋国家の集団だ。(パットン)

認識すべきは、21世紀において、勢力圏は19世紀や20世紀のように軍事的・地理的な支配形態としてだけでなく、重要な技術やインフラの領域で自然に形作られていくことだ。トランプが習近平への譲歩を検討しているいま、その可能性はさらに高まっている。(リスナー、フーパー)

「米中のどちらかを選んでいる」という自覚はないのかもしれないが、東南アジア諸国の多くが、アメリカから離れて、中国へ傾斜しているのはいまや明らかだろう。しかし、そのパワーを北京がどのように使うかをめぐって、地域諸国が大きな懸念をもっているのも事実だ。(コン、リウ)

二つの東南アジア
―― 大陸国家と海洋国家の分裂

2025年11月号 スザンナ・パットン ローウィー研究所 東南アジアプログラム・ディレクター

東南アジアには二つの国家集団が存在する。カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムなどの中国寄りの大陸国家、そして、米中間のバランスをとるインドネシア、マレーシア、シンガポールなどの海洋国家の集団だ。東南アジアの海洋国家は大陸国家よりも規模が大きく、世界貿易で重要な役割を果たし、より多くの投資や開発資金が外国から流入している。東南アジア諸国を構成するこれら二つのネットワーク間の格差は今後数十年で拡大し、大陸部東南アジアは中国の事実上の勢力圏になるだろう。現実には、この地域での米中バランスは、今後、ベトナムとタイとの関係に左右されることになると考えられる。

拡大する中国のアジア勢力圏
―― 変化する米中のバランスと台湾

2026年7月号 レベッカ・リスナー 米外交問題評議会 シニアフェロー ミラ・ラップ・フーパー ブルッキングス研究所 客員シニアフェロー

将来の歴史家は、2026年5月の米中首脳会談を「パワーバランスが中国に有利な方向へ変化し、インド太平洋地域における勢力圏の確立を本格的に始めた瞬間」として記憶することになるかもしれない。認識すべきは、21世紀において、勢力圏は19世紀や20世紀のように軍事的・地理的な支配形態としてだけでなく、重要な技術やインフラの領域で自然に形作られていくことだ。トランプが習近平への譲歩を検討しているいま、その可能性はさらに高まっている。だが、アジアでの中国の勢力圏は、米中間に安定をもたらすパワーバランスを生み出すどころか、壊滅的な危機や紛争の可能性を高めることになるかもしれない。今後の鍵を握るのは、やはり台湾だ。

東南アジアの選択
―― なぜ中国に傾斜しているか

2025年8月号 ユエンフォン・コン シンガポール国立大学 公共政策大学院 教授 ジョセフ・チンヨン・リウ 南洋理工大学 教授

「米中のどちらかを選んでいる」という自覚はないのかもしれないが、東南アジア諸国の多くが、アメリカから離れて、中国へ傾斜しているのはいまや明らかだろう。しかし、そのパワーを北京がどのように使うかをめぐって、地域諸国が大きな懸念をもっているのも事実だ。実際、この地域のエリートを対象とする調査で「誰を信頼しているか」という問いで、第1位に選ばれたのは日本で、中国は4位だった。流れは中国にあるとしても、北京が地域諸国の懸念を和らげ、信頼を勝ちとるには、まだ、やるべきことが多く残されている。だが、2期目のトランプ政権の政策が、北京がこの課題を克服するのを容易にするのかもしれない。

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2026年7月号(2026年7月10日発売)

Contents

  • 変貌したイラン国家の未来
    神権国家からナショナリスト国家へ

    ナルゲス・バジョグリ、バリ・ナスル

  • 朝鮮半島有事に備えよ
    北朝鮮の強大化と国際化した対立構図

    オリアナ・スカイラー・マストロ

  • 拡大する中国のアジア勢力圏
    変化する米中のバランスと台湾

    レベッカ・リスナー、ミラ・ラップ・フーパー

  • 防衛産業をどう再建するか
    再生に向けた日本の長い道のり

    マシュー・フィンケル

  • マラッカとホルムズ
    アジアの水路を守るには

    リン・クオック

  • 米軍基地と戦時アクセス権
    台湾危機と日豪基地

    レイチェル・メッツ

  • トランプ政権と新貿易秩序
    安全保障、貿易の均衡、成長を実現する

    ロバート・ライトハイザー

  • 教皇レオ14世の存在理由
    トランプ批判は何を意味するのか

    ビクター・ゲイタン

他全9本掲載

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