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2024.7.13 Sat
トランプにどう向き合うか
―― 同盟国指導者が果たすべき役割
取引に持ち込むには、まずいじめに立ち向かわなければならない。世界の指導者たちは、トランプにどう取り入れば怒りを避けられるか、再び頭を悩ませて始めている。だが、アメリカの友好国や同盟国の指導者たちは、トランプに真実を語りかけることのできる数少ない立場にあることを忘れてはいけない。(ターンブル)
なぜドナルド・トランプ米大統領は好き勝手に振る舞えるのか。実際には、これは、トランプ個人に留まる問題ではなく、アメリカ政治を支えてきた抑制と均衡のシステムが形骸化していることで引き起こされている。米議会の外交専門家が少なくなり、国務省は虐げられ、国家安全保障会議が肥大化している。(ゴールドガイアー、サンダース)
トランプのアメリカがファシズムに陥っていくと考えるのは行き過ぎだが、彼が大統領になったことで、この国が「競争的権威主義」、つまり、有意義な民主的制度は存在するが、政府が反対派の不利になるように国家権力を乱用する政治システムへ変化していく恐れがある。(ミッキー、レヴィツキー、ウェイ)
トランプにどう向き合うか
―― 同盟国指導者が果たすべき役割
2024年8月号 マルコム・ターンブル 元オーストラリア首相
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他国の指導者たち、特に緊密な同盟諸国の指導者たちは、(ホワイトハウスに舞い戻るかもしれない)トランプに、単刀直入に、率直に語りかける機会があるし、そうする責任がある。オーストラリア首相としての私の経験を言えば、他国の指導者の力強く、率直な態度を彼は好まないかもしれない。だが、怒りが収まれば、そうした態度に敬意を払うようになる。多くのいじめっ子と同じく、彼は、相手を自分の意のままにできるときは屈服させ、できないときは取引をしようとする。しかし、取引に持ち込むには、まずいじめに立ち向かわなければならない。世界の指導者たちは、トランプにどう取り入れば怒りを避けられるか、再び頭を悩ませて始めている。だが、アメリカの友好国や同盟国の指導者たちは、トランプに真実を語りかけることのできる数少ない立場にあることを忘れてはいけない。
トランプが思うままに行動できる理由
―― 形骸化した抑制と均衡
2018年11月号 ジェームズ・ゴールドガイアー アメリカン大学教授(国際関係論) エリザベス・N・サンダース ジョージタウン大学外交大学院准教授
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なぜドナルド・トランプ米大統領は好き勝手に振る舞えるのか。実際には、これは、トランプ個人に留まる問題ではなく、アメリカ政治を支えてきた抑制と均衡のシステムが形骸化していることで引き起こされている。米議会の外交専門家が少なくなり、国務省は虐げられ、国家安全保障会議が肥大化している。同盟国の立場も公然と無視されるようになった。トランプは、かねて進行してきたこのシステムの劣化を前に、暴走しているに過ぎない。大統領権限の拡大を阻止したいのなら、トランプが引き起こしたダメージだけでなく、そのダメージが明らかにしたより根深い問題、つまり、大統領権限の抑制を担うべき組織が、その意欲と能力の双方を着実に失っているという現実に対処していかなければならない。
アメリカ政治の分裂と民主体制の危機
―― ドナルド・トランプと競争的権威主義
2017年6月号 ロバート・ミッキー ミシガン大学准教授(政治学) スティーブン・レヴィツキー ハーバード大学教授(政治学) ルキャン・アハマド・ウェイ トロント大学教授(政治学)
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トランプのアメリカがファシズムに陥っていくと考えるのは行き過ぎだが、彼が大統領になったことで、この国が「競争的権威主義」、つまり、有意義な民主的制度は存在するが、政府が反対派の不利になるように国家権力を乱用する政治システムへ変化していく恐れがある。政府機関を政治化すれば、大統領は調査、告訴、刑事責任の対象から逃れられるようになる。政党間の分裂が激しければ、議会の監視委員会が、行政府に対して超党派の集団的な立場をまとめるのも難しい。しかも、政党だけでなく、アメリカの社会、そしてメディアさえもが分裂している。いまや民主党員と共和党員は全く異なるソースのニュースを利用し、その結果、有権者はフェイクニュースを真に受け、政党のスポークスパーソンの言葉をより信じるようになった。現在の環境では、仮に深刻な権力乱用が暴かれても、それを深刻に受け止めるのは民主党支持者だけで、トランプの支持者たちはこれを党派的攻撃として相手にしないだろう。・・・