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2024.10.15 Tue
気難しいパートナーといかに付き合うか
―― イスラエル、ウクライナにどう向き合うか
「アメリカはウクライナに死活的に重要な利益をもっている」とみなす米議員たちの発言は、ウクライナが倒れれば、アメリカが直接脅威にさらされるという意味ではない。(関与しなければ)「リベラルな世界秩序が脅かされる」という意味だ。(ケーガン)
「友好国や同盟国との立場の違いをいかに管理するか」。この問題へのワシントンの考えはあまり整理されていない。例えば、イスラエルやウクライナのように、ワシントンに依存しながらも、その助言に抵抗することも多い相手に、どのように対処するのが最善なのか。(ハース)
ネタニヤフがイスラエルを長い地域戦争へ導き、おそらく米政権とイスラエル市民を欺くのを防ぐには、総選挙を実施するしかない。われわれはどこに向かっているのか、誰がわれわれをそこに導くのかを市民が決められるようにする必要がある。(バラク)
国益と自由世界擁護の間
―― ウクライナとアメリカの国益
2023年3月号 ロバート・ケーガン ブルッキングス研究所シニアフェロー
オバマ大統領(当時)は、「ウクライナは、アメリカよりもロシアにとって重要であり、同じことは中国にとっての台湾についても言える」と何度も語っている。一方で、第一次世界大戦、そして第二次世界大戦から今日までの80年間、アメリカがそのパワーと影響力を行使して自由主義の覇権を擁護し、支えてきたのも事実だ。ウクライナの防衛も、アメリカではなく、自由主義の覇権を守ることが目的なのだ。「アメリカはウクライナに死活的に重要な利益をもっている」とみなす米議員たちの発言は、ウクライナが倒れれば、アメリカが直接脅威にさらされるという意味ではない。(関与しなければ)「リベラルな世界秩序が脅かされる」という意味だ。アメリカ人は、再び世界はより危険な場所になったとみなし、紛争と独裁に支配される時代に向かいつつあるとみている。
同盟諸国とのトラブル
―― 気難しいパートナーといかに付き合うか
2024年10月号 リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長
「友好国や同盟国との立場の違いをいかに管理するか」。この問題へのワシントンの考えはあまり整理されていない。例えば、イスラエルやウクライナのように、ワシントンに依存しながらも、その助言に抵抗することも多い相手に、どのように対処するのが最善なのか。説得、インセンティブ供与、制裁、見て見ぬふり、そして単独行動と、そこにはさまざまなアプローチがある。これらをどう使い分けるか、体系的なアプローチをとる必要があるし、「自国の利益を守りつつ、貴重な同盟関係の断絶を避ける」ために、ときには、相手を批判し、単独行動をとる覚悟をもたなければならない。
イスラエルはどこに向かうのか
―― ネタニヤフとの決別を
2024年4月号 エフード・バラク イスラエル元首相
ガザの戦後をめぐって、ネタニヤフがワシントンの計画を受け入れれば、極右の連立パートナーの支持を失い、政権は崩壊するだろう。一方、バイデンの計画を拒否し続ければ、ガザの泥沼に深く引きずり込まれる。この場合、西岸で第3次インティファーダが誘発され、イランが支援するレバノンのヒズボラと再び戦争に突入するだろう。しかも、アメリカとの関係が大きく損なわれる危険がある「アブラハム合意」も不安定化し、サウジアラビアがこの合意に参加することへの期待も遠のく。ネタニヤフがイスラエルを長い地域戦争へ導き、おそらく米政権とイスラエル市民を欺くのを防ぐには、総選挙を実施するしかない。われわれはどこに向かっているのか、誰がわれわれをそこに導くのかを市民が決められるようにする必要がある。・・・