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2025.10.17 Fri
<11月号プレビュー>
ガザ合意の行方
―― イスラエルの国際的孤立と戦争は終わるのか
イスラエルがカオスを作り出し、アメリカが不本意ながらその流れに追随するという、はっきりとしたパターンが生まれている。このダイナミクスを断ち切るには、アメリカは地域的な安定を促進する路線をイスラエルが維持するように、継続的な圧力をかけなければならない。(ヒルターマン、ホール)
イスラエルの未来は、市民が決めなければならない。有権者は変化を求めている。誇りと希望に満ちた国の未来像を示せる指導者の登場を望んでいる。これが、イスラエルが世界に提示すべき国家ビジョンでもある。(ラピド)
多くのイスラエル人は、武装勢力がパレスチナを活動拠点にすることを恐れ、パレスチナ国家の樹立には強く反対しているが、無期限の占領という現状は、イスラエルを国際的に孤立させ、失うものがないと感じる人々によるテロに永遠に直面することになる。(ハース)
ガザ合意は何を問いかける
―― 米イスラエル関係の奇妙なパターン
2025年11月号 ヨースト・R・ヒルターマン 国際危機グループ 中東・北アフリカ担当特別顧問 ナターシャ・ホール 戦略国際問題研究所 上級研究員(非常勤)

イスラエルがカオスを作り出し、アメリカが不本意ながらその流れに追随するという、はっきりとしたパターンが生まれている。このダイナミクスを断ち切るには、アメリカは地域的な安定を促進する路線をイスラエルが維持するように、継続的な圧力をかけなければならない。イスラエル政府はハマスとの戦争継続を望んでいたが、トランプが強い調子で働きかけた結果、今回はガザ合意に署名するほかなかった。だが、ネタニヤフがいずれハマスに対する戦争を再開し、人道的支援を妨害する可能性はある。二国家解決策をイスラエルが拒絶しているという基本問題も残されている。強い圧力をかけ続けない限り、今回の合意でも、いつものパターンが繰り返されることになるかもしれない。
大いなる選択
―― イスラエルの孤立と戦争を終わらせるには
2025年11月号 ヤイル・ラピド 前イスラエル首相

ガザ戦争終結のためのトランプの和平プラン、そして今後12カ月以内に実施される総選挙によって、イスラエルは自らを改革するチャンスを手にする。この国を危機的状況から救うには、何よりもまず人質を解放させなければならないが、同時に過激派をイスラエル政府から排除することも必要になる。ネタニヤフ政権は、神権政治的で非自由主義的体制の確立を目指しているからだ。イスラエルの未来は、市民が決めなければならない。有権者は変化を求めている。誇りと希望に満ちた国の未来像を示せる指導者の登場を望んでいる。これが、イスラエルが世界に提示すべき国家ビジョンでもある。
イスラエルとパレスチナ
―― 外交的解決策に残されたチャンス
2025年10月号 リチャード・ハース 米外交問題評議会 名誉会長

イスラエルは厳しい選択を迫られている。パレスチナとの妥協と平和的共存を誠実に模索するか、それとも、長期的な繁栄に必要な国際的支持を失うリスクを冒すかだ。多くのイスラエル人は、武装勢力がパレスチナを活動拠点にすることを恐れ、パレスチナ国家の樹立には強く反対しているが、無期限の占領という現状は、イスラエルを国際的に孤立させ、失うものがないと感じる人々によるテロに永遠に直面することになる。ガザや西岸からパレスチナ人を強制移住させることもヨルダンや他の近隣諸国の不安定化を招きかねないし、アラブ諸国との関係も悪化する。国をもつことがパレスチナにとって有益であることは言うまでもないが、イスラエルにとっても有益であることを認識する必要がある。