2024.10.29 Tue
<11月号プレビュー>
アメリカと世界、ドローンとAIと戦争、資本主義の未来
かつて同様に、リビジョニスト(現状変革)国家は力によって領土を獲得し、国際秩序は崩壊しつつある。さらに憂慮すべきは、かつて同様にアメリカが内向きになり、孤立主義の誘惑に駆られていることだ。ポピュリズム、移民排斥主義、孤立主義、保護主義に席巻されるアメリカの国際社会での立ち位置はどこにあるのか。(ライス)
最悪のシナリオでは、AI戦争は人類を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べて、AIモデルでは、核戦争を含めて、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかっている。(ミリー、シュミット)
主要国が資本主義から後退しているかにみえるなか、スイス、台湾、ベトナムなどの、資本主義がうまく機能している国もある。これらの諸国のやり方を模倣し、取り入れる価値はあるだろう。いずれも、経済的自由を重視し、経済の管理や規制をめぐる政府の役割を抑え、債務や財政赤字が深刻なリスクになることを認識して資金を慎重に用いている。(シャルマ)
新国際主義外交の薦め
―― アメリカと世界
2024年11月号 コンドリーザ・ライス 元米国務長官
かつて同様に、リビジョニスト(現状変革)国家は力によって領土を獲得し、国際秩序は崩壊しつつある。さらに憂慮すべきは、かつて同様にアメリカが内向きになり、孤立主義の誘惑に駆られていることだ。ポピュリズム、移民排斥主義、孤立主義、保護主義に席巻されるアメリカの国際社会での立ち位置はどこにあるのか。アメリカのグローバルな関与が、過去80年間とまったく同じように進むとは考えられないが、それでもアメリカの国際主義外交が求められている。そうできるかで、未来が民主的で自由市場国家間の同盟によって規定されるのか。それとも、リビジョニストパワーによって規定される権威主義的政治の時代に逆戻りするのかが左右されるだろう。
未来の戦争と新しい兵器
―― 新しい戦争はすでに具体化している
2024年11月号 マーク・A・ミリー 前統合参謀本部議長 エリック・シュミット 元グーグル会長兼CEO
ウクライナ戦争が他のヨーロッパ地域へ拡大すれば、北大西洋条約機構(NATO)とロシアは、ともに地上ロボットと空中ドローンをまず投入することで、人間だけでは攻撃も防御もできない広範な前線をカバーすることになるだろう。すでに戦争の本質は変化している。イスラエル軍は、AIプログラム「ラベンダー」を使って、ハマスの戦闘員を特定し、彼らの自宅を爆撃している。人が攻撃の承認にかける時間はわずか20秒だ。最悪のシナリオでは、AI戦争は人類を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べて、AIモデルでは、核戦争を含めて、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかっている。
再生する資本主義
―― スイス、台湾、ベトナムに学ぶ
2024年11月号 ルチール・シャルマ ロックフェラー・インターナショナル 会長
新興経済諸国は、アメリカが「大きな政府」的解決策を模索するのをみて衝撃を受ける一方で、中国に経済モデルのインスピレーションを求めることもできずにいる。いまや「中国経済の奇跡」も失速しつつある。だが、主要国が資本主義から後退しているかにみえるなか、スイス、台湾、ベトナムなどの、資本主義がうまく機能している国もある。これらの諸国のやり方を模倣し、取り入れる価値はあるだろう。いずれも、経済的自由を重視し、経済の管理や規制をめぐる政府の役割を抑え、債務や財政赤字が深刻なリスクになることを認識して資金を慎重に用いている。